02年5月31日
ワールドカップ開幕。前夜祭では、郷里の新居浜市の祭りで使われる太鼓台(超大型の御輿)が、日本から唯一の出し物として参加したハズだが、観ていない。開幕戦のフランスVSセネガル、授業中である。もちろん観ていない。世界的イベントの出だしでいきなり乗り遅れてしまった。
でも、開幕戦のフランスの敗北、ワタクシ、しっかり予想していました。誰かと賭けとけばよかった。真剣勝負の予選を経ずにいきなり開幕戦に臨むフランス側は、どうしても心理的に受け身になる。それに対してセネガルは負けてもともとなので、思い切って勝負に行ける。そのセネガルは、身体能力が高い、組織力がある、守備が強い、何より旧フランスの植民地で選手のほとんどがフランスリーグで活躍している関係で、フランスのサッカーを知り尽くしている。初戦であたる相手として、これ以上フランスにとって嫌な相手はなかったハズ。しかもジダンが出られない。番狂わせの条件は、ありすぎるほどあったと。
さて、このフランス敗北を予想していた人物を発見。スポーツ誌スポルティバの第3号、ワールドカップに出られなかった名選手インタビューという特集があって、そこでイタリアのセリエAで活躍するウクライナのエース、シェフチェンコが、「みんなフランスが勝つと思っているだろう、ぼくはセネガルが勝つと思うよ」と何げに言っている。

02年5月30日
の伝説の傑作『マドモアゼル・モーツァルト』をゲット。モーツァルトが女性だったという設定のマンガで、ミュージカル化もされた。横浜校に出講した際立ち寄った、「まんがの森」というマンガ専門店にあったのだ。河出書房新社から限定5000部の復活版。やったね。

02年5月29日
一昨日より姑が来京。おかげで家のことや子供たちのことなど、精神的負担が随分減って助かる。と思ったら、安心して疲れが出たのか、かみさんがダウン。まあ、そういうものでしょう。久しぶりに夕食を作る。例によってカレー。ただし、趣向を少しかえて、大きめのフライパンで最初から最後まで作るフライパンカレーに挑戦。辛いものが苦手な姑のため、辛さは控えめ。ワインもトマトもなかったので、代わりにリンゴを1個すり下ろして入れる。少しは喜んでもらえたみたいで、良かった。
、ようやく基礎工事がほぼ終了。

02年5月28日
近藤和彦『文明の表象 英国』(山川出版、1998)読了。共鳴するところ多く、貪るように読む。

02年5月27日 長電話
エンリッチ講座の打ち合わせをかねてと電話。打ち合わせと言いながら話はとめどなく広がり、気がつけば朝の5時である。をいをい。

02年5月26日 泥だらけの日曜日
私が居住する羽村市では、「花と緑の街作り」という、まあ、よくあるスローガンを掲げております。スローガンだけでなく、実践もちゃんとやります。町内会でも公園や街路沿いに花壇を設けて、年2回ほど、花の植え替えをするわけです。今日がその日。私も朝8時から、園芸用スコップ片手に花植えに参加しました。10時終了。私の次男が通う羽村たつの子保育園では、子供と自然の触れ合いをテーマに、水田を借りて、イネの栽培をやっております。作業はもちろんお父さんがたが中心で、ここのところの日曜日、作業が連続してあります。会議その他で出られない日が続くので、今日ぐらいは参加しなければ申しわけない。11時から参加。

02年5月25日 健康に良いこと
子供たちにせがまれ、久しぶりに徒歩数分の市営温水プールへ。少し泳げるようになった長男も、一人で子供用ウォーター滑り台を滑れるようになった次男も大はしゃぎ。夕方からはバドミントンで汗を流す。

02年5月24日 河合塾休館日
各種〆切が迫る月末の情勢のため、寝て過ごす計画を放棄。1日かかって模試の原案をようやく1本仕上げる。

02年5月23日 今度こそ
のリンク切れを修繕して使えるようになったはず。

02年5月22日 エンリッチ講座紹介文
河合塾エンリッチ講座「再構成される文学−21世紀はスタンダードを見出しうるか?」の紹介文を書いたので、ここにUPしておきます。

「戦争と革命の20世紀」は終わりを告げ,世界史は新しいステージに突入した。
旧時代,あらゆるものが,国境の壁によって仕切られ,保護されていた。そこでは,“先進国”の情報に接することの出来る“特権的少数者”が模倣し,自らの都合のよいように換骨奪胎したものが,「日本」野球,「日本」文学,のように「日本」を冠してわれわれの生活をとりまいていた。「世界」は「日本」の対義語として存在し,「世界」の問題は,われわれの外部の問題だった。
 新時代,旧来の国民国家は歴史の主役の座から退き,資本も人もそして文化も,地理上の国境を軽々と越えていく。情報は広く人々が接することの出来るものとなり,「世界」の問題は,この時代に生きる人々全てが共有する問題となり,「日本」という冠を外して通用しないものは,淘汰されざるを得ない時代となった。
 それは同時に,われわれ一人一人が,世界標準に対峙しなければならないことを意味する。
 津原泰水は,「日本」文学に孤絶して登場した。「日本」のエンターテイメント系ジャンル小説にも純文学にも属すことを拒否する特異なその作品群は,逆説的にも世界の幻想文学の系譜上に正統の位置を占める。「日本」の文学シーンに苦闘しながら自己の立場を確立してきた氏の語る言葉は,われわれに新時代を生きるための突破口を垣間見させてくれるだろう。

02年5月21日 今となっては
ホブズボームの『ナショナリズムの歴史と現在』(大月書店、2001年)読了。
「今日、「ネイション」はその古い諸機能の重要な部分、すなわち、より大きな「世界経済」の基礎単位として、領土に囲まれた「国民経済」を構成するという機能を、少なくとも地球上の先進地域で、明らかに失いつつある。《中略》たぶん、唯一機能している20世紀後半の「国民経済」は日本の経済だけだろう」(同書pp.234−235)
原著が出版されたのは今から10年前の1992年。その後の10年で日本の「国民経済」もやっていけなくなったのはわれわれ全てが承知するところ。というよりも、「国民経済」を最後まで維持できたからこそ、共産圏崩壊後にさらに加速した「世界」経済の潮流に転換することが遅れて七転八倒している、ということか。

02年5月20日 某プロジェクト公表
河合塾エンリッチ講座
《再構成される文学−21世紀はスタンダードを見出しうるか?−(仮)》
講演: 司会:山内秀朗(これだけが心配
6月19日 午後5時30分より(一時間半)
場所:河合塾駒場校
入場無料(一般の方も聴講できます。ただし聴講者多数の場合は河合塾生が優先されます)

02年5月19日 三匹の子豚の真実
主催の「音楽とお話の会」に参加。第二部の専門家を招いてのチェロの生演奏が目当てだったけど、第一部、子供への読み聞かせ運動の推進者を招いての講演が、なかなか刺激的だった。講演者は白髪を丁寧にまとめた、一見穏やかそうな、かなりの歳のおばさんだったけど、その口からは、外国の童話を耳当たりのよいものに翻案・改変してきた日本社会に対する痛烈な批判が出てくるわ、出てくるわ。『三匹の子豚』が、上の二匹が狼に食べられ、最後の末っ子が逆に狼を食べてしまう話だということを、皆さん、ご存じでしたか?

02年5月18日 睡眠不足の日々が
日中、例によって長男とバトミントン。これまた例によって深夜起き出し、いまのところまだ秘密の某プロジェクト(そのうち公表します)に頭を悩ませる。

02年5月17日 環境と人間
デイヴィッド・アーノルドの『環境と人間の歴史』(新評論、1999年)読了。環境が歴史に与えた影響に対する注目は近年高まっていて、日本でもエーゲ文明の盛衰と森林破壊の関係を花粉分析という手法で論じた安田喜憲の研究(『講座文明と環境第9巻、森と文明』朝倉書店、1996年)など注目すべき成果が出ている。アーノルドは、環境の歴史に与えた影響の重要性を認めつつも、かつて環境決定論が西洋文明の優位性を説き、西洋の拡大と帝国主義の正当化に寄与してきた歴史を詳細に論じ、最近日本でも紹介されている、新大陸征服には天然痘などの病気が決定的役割を果たしたとするアルフレッド・クロスビーの「生態学的帝国主義」論を、その「圧倒的メッセージは、ヨーロッパと非ヨーロッパとの関係は、ヨーロッパ人が実際的あるいは意識的な統制力をほとんどもたず、それゆえまったく道義的な責任をもたない諸要因によって決定されてきた、というものである」と批判し、「意識しようとしまいと、クロスビーは、ヨーロッパの拡張を、人種的差異と、そして白人の人種的優越性の必然と考えられるものと同一視する科学的、歴史的な学問伝統の後継者である」と断罪する。そしてヨーロッパの拡張が、いかに自然と環境を改変してきたかを論じていく。いや、鋭いです。

02年5月16日 戦争とプロパガンダ
エドワード・サイードの『戦争とプロパガンダ』読了。ハンチントンの『文明の衝突』を徹底的に叩きのめしたところなど、痛快。でもイスラエルの効果的なプロパガンダと、アラブ側の無策の結果として、イスラエルが1967年の第3次中東戦争以後、国際連合の安全保障理事会の撤退決議を無視して不法占領を続けていることを知っているアメリカ人が3%という、文中に言及されたデータには暗然となった。

02年5月15日 お勧め発見
に転載された8月サンタ(筆名である)の「PowerBook Publishing Project」の記事に興味を持った。テーマはPowerBookG4で出版業を開業すること。僕もPowerBookG4をメインマシンとして使っていて、同じようなことを考えていた。転載された記事は、に月数回連載されているコラムの一部ということだったので、これは全体を通して読まねばと同サイトを訪れ、バックナンバー→検索→とクリックしてキーワードに「8月サンタ(8は半角数字)」と入力。したら、「PowerBook Publishing Project」以前の同氏のコラム記事も大量に出現。いや、面白い。出版業界の在り方に関する問題意識など、共鳴する点も多かったのだけど、それ以上に軽快な文章に乗せて語られる、インド系フィンランド人との国際的ビジネスをめぐる交渉のエピソードや、自転車の乗り方に関する蘊蓄など、内容そのものが秀逸。こういう書き手もいたんですね。お勧めです。

02年5月14日 リンク切れ修正
リンク切れを起こしていたのリンク切れを修正。文化史はなかなか授業で扱えないので、にはかなり力を入れてます。受験生諸君、有効に活用してください。その上で、夏期講習では神余先生サテライト文化史(講座名、忘れた。確認しときます)を必ず取ること。

02年5月13日 パレスチナ問題に怒る
イスラエルの与党リクードが、パレスチナ国家の樹立を認めない宣言を採択。オスロ合意によるパレスチナ国家自体が、アパルトヘイト期の南アフリカ共和国における“黒人独立国家”に相当するまやかしである、というのが私の立場であるが、それすらも認めないという今回の宣言は、イスラエルという国の非常にやばい原理主義体質をむき出しにしたものだ。アメリカはタリバンを空爆するなら、イスラエルも空爆しないと論理的整合性が取れないことに気がつくべきだ。そうでなければ、サダムフセインの“ダブルスタンダード”というアメリカ外交批判が、説得力を持ってアラブ人世界に受け入れられ、イラクの立場をますます有利にしてしまうだろう。

02年5月12日
2週間ぶりに会議がない日曜日だったので、日中はいつもの如く公園めぐり。深夜に起き出し、の作業を若干。授業進度からかなり遅れている。

02年5月11日 少し借りを返す
小学校の体育館を借りて行われた主催の親子交流会に次男とともに参加。親子ゲームに汗を流す。

02年5月10日 カルチャーギャップ
立川校の卒業生クラス(総合世界史講義論述)の授業が東南アジア史に入り、「もしもし亀よのメロディーで覚える東南アジア王朝の変遷」を披露。ところが、「もしもし亀よ」を知らない生徒がかなりの数にのぼることが判明。頭を抱える。「巨人の星で覚えるアメリカの重要大統領」で使う「巨人の星」(監修の『血の12幻想』(講談社文庫)に田中啓文が「血の汗流せ」というシュールなパロディを寄せていてこれがなかなか)については、知らない生徒が数年前から増えてきたとき、さもありなん、と思ったけど、「もしもし亀よ」だよ、おい。世代を越えて継承されていく日本の唄、と思い込んでいたのはおじさんだけ?
どんぐりころころで覚えるイスラム王朝史」は大丈夫だろうか。

02年5月9日 歴史は過去に学び
いくらなんでも2日あれば終わると思っていた地図修正の仕事が本日の午前中にまでずれ込む。なんとかサンプルデータをQuark Xpress上でレイアウトして、午前11時過ぎにプリントアウトして終了。歴史は過去に学んで現在を正すためにあるのだ、と歴史屋のドグマを自分でも口にするくせに、自分の過去に学んで自分の現在を正すことが出来ないのはなぜ。

02年5月8日 忘れた方がいいことも
1日で片付けるつもりだった地図修正の仕事が1日では終わらず、今日も朝からずっと苦しむ。繰り返すデジャビュの世界・・・と書いて、気になって愛用の(こいつは小平や銭大や李大が、ちゃんと漢字ででてくるという優れものである)でデジャビュを引いてみたら「それまでに一度も経験したことがないのに、かつて経験したことがあるように感ずること」とあった。用法間違ってました。私の場合、それまで一度も経験したことがないのにではなく、過去に何度も何度も経験したのにきれいさっぱり忘れていて、でした。これ、何ていうのだろう。ボケ、だろうか。

02年5月7日 こんな仕事も
河合塾テキストの地図の修正を、マックでイラストレータを用いて行う。
昨年度から、河合塾の世界史テキストの地図の大部分は、岡田先生のimp-psyと、山内の工房李香で製作してます。河合出版の『駈け抜け世界史』と『ポイント世界史』の地図もそう。

02年5月6日 繰り返す過ちを照らす灯をかざせ
パレスチナを訪問した人の報告が、メールで転載されてきたので掲載します。。この問題についての僕の意見はこちら。どちらも長いですが、是非読んでみて下さい。

02年5月6日
やっとゴールデンウイークが終わった。

02年5月5日
の製作を開始

02年5月4日 いつか借りは返すということで
昨日の憲法記念日は授業があって、明日の日曜日は会議がある。月曜日の振り替え休日にはもちろん授業が入ってる。というわけで、子供たち4連休中の間に私の休みは今日だけだ。手近なところで多摩センターでやっているガーデンシティ多摩2002に行き、フリーマーケット等のイベントでゴールデンウイークを胡麻かす。

02年5月3日 神秘主義は危ないぞ
授業の内容がインド史に入り、ウパニシャッド哲学の説明で神秘主義に触れる。私の修士論文のテーマが、ムガル帝国期におけるヒンドゥー教神秘主義(バクティ )とイスラム教神秘主義(スーフィズム)の交流というもので、当時は人類の共通体験としての神秘体験と、各宗教に共通して存在する神秘主義は、それゆえに異文化対立を越えるものであり、民族対立と宗教対立による悲劇が続く現在の世界情勢において、人々の相互理解に一定の役割を果たすことができるのではないか、なぞと大真面目に考えていた。大甘。オーム真理教(あれも神秘主義の宗教である)事件が起こるまで神秘主義の危険性に気がつかなかった私は大馬鹿者である。

02年5月2日 古川日出男三度
古川日出男のデビュー作『13』を読了。専門書や史料以外の読書タイムは通勤時間に限定というのがマイルールだったのに、深夜12:00過ぎに帰宅して後も中断することが出来ず、途中からビールなぞ飲み出し、完全に惑溺。読み終えたら4:00になっていた。『アラビアの夜の種族』もそうだったけど、『13』にも、幻想を支える細部を獲得するために知的情報が惜しげもなく注ぎ込まれている。これを書くのに一体どれほどの労力が必要だったのか、と考えながら最後のページをめくると、準備に3年間と一言触れてあった。文芸書の初版が7千部で良し、という時代に一冊に3年かけるというのは、並大抵の覚悟ではできない。改めて脱帽するとともに、そうやって生み出された傑作を売り出すことが出来ない出版界の衰退は、これはいったい如何。

02年5月1日 お仕事
、ハイパーリンク部分はまだこれからだけど、ベースのノート部分はかなりできてきたかと。

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