ポリビオス(前201-前120)

ローマ共和政時代のギリシア人の政治家・歴史家。前2世紀にギリシアの覇権を握ったアカイア同盟の指導者の一人で、前168年アンティゴノス朝マケドニアがローマに滅ぼされた第三次マケドニア戦争において、アカイア同盟もマケドニアととともにローマと戦い、敗北したため、人質としてローマに渡った。スキピオ一家と知り合ってその厚遇を受け、小スキピオの家庭教師となった。第三次ポエニ戦争で小スキピオに伴われてアフリカ北岸にわたり、カルタゴの滅亡を見聞。その経験からローマの勝因を追及して書かれたのが『ローマ史』である。ここで彼は政体は君主政→その堕落形態としての僭主政→貴族政→その堕落形態としての寡頭政→民主政→その堕落形態としての衆愚政→そして一巡して君主政と循環し続けるという、政体循環論を唱えている。彼によれば、ローマは例外的に君主政(コンスル)、貴族政(元老院)、民主政(平民会)の要素を併せ持った混合政体であり、安定していた。故に地中海に覇権を確立することが出来たというのである。もっとも彼はローマといえども、いつかは政体の変遷を免れ得ないと論じており、事実、革命の1世紀の混乱はその時既に始まっていた。