セネカ(前4-後65)

ストア派の哲学者でネロ帝の家庭教師。代表作は『幸福論』。ネロ帝が即位 すると大臣となってよくその政治を後見したが、ネロがその残虐で強欲な性格を現してくると政界から引退。著述に専念する。人生の短さと禁欲を説き、富を軽んじながら、実生活においては南海貿易に投資して巨万の富を蓄積するなど矛盾した態度を示す。しかしネロ帝に対する陰謀の疑惑に巻き込まれ、死を命じられたときには入浴して血管を太くし毒を注射して、自分の命の消えゆくさまを書記に記録させ、ストア派の哲学者らしく従容として死に赴いた。