04年12月27日 一人暮らし
 かみさんと息子たち、無事に帰省。年末年始は一人東京で過ごします。そういう仕事です。

 1限松戸。移動して横浜、帰宅して次の日の授業準備。睡眠4〜5時間。寝過ごしてはならないという恐怖感から熟睡できず。花粉症、早くも発症。うーむ。

04年12月25日 朝がつらいぞ
 クリスマス。子供たちは部屋の外に置いてあったプレゼントの袋に大喜び。14日から休みがないことを口実に、一切をかみさんにまかせきり。つくづくすまん。しかも加えて私にも帽子と手袋のプレゼントが。嬉しいぞ〜。
 早速役に立ちました。今日から5日間は、松戸校1限。移動して横浜校4限。朝7時前に出ないと間に合わない。この時間は寒いぞ〜。帽子と手袋、あってよかったぞ〜。

 んで、眠い。夜次の日の予習をやって、早朝起きる生活になるので、睡眠時間が極端に不足。ここからが、一番つらいか。

04年12月23日 『サウジアラビア−中東の鍵を握る王国−』
 サウジアラビアとその国家宗教であるワッハーブ派抜きに、イスラム原理主義のテロリズムは理解できないということを、繰り返し述べてきましたが、ついにこの問題を正面から扱った新書がでました。『サウジアラビア−中東の鍵を握る王国−』(アントワーヌ・バスブース,集英社新書,集英社新書,2004)著者はレバノンの大学で学んだフランスの政治学者。ワッハーブ派の排他的・復古的教義(なにしろイスラム教徒が異教徒をかばうなら、そのイスラム教徒を殺してもかまわないと説き、地球は平板で太陽が地球の周りをまわっているということを断固主張するという教えですから)の解説から、サウジアラビアの建国の由来、オサマ・ビン・ラディン出現の理由、アメリカとサウジアラビアの複雑怪奇な関係に至るまで平易に解説されています。お勧め。

04年12月21日 『太平洋−開かれた海の歴史』
 増田義郎『太平洋−海の歴史』読了。『黄金の世界史』では、黄金というモノを通して古代から現代までの世界史をまとめた著者が、太平洋という、今まであまり注目されてこなかった地域を舞台に古代から現代までを語りおろす。『黄金の世界史』のテーマ通史に対して、今度は地域通史。しかも、考古学・文化人類学・歴史学といった諸分野の研究成果を無理なく統合し、最新の文献もきちんと参照している。素晴らしい。著者は1928年生まれ。歳をとるのも悪くないのかもしれないと感じさせてくれる一冊。

04年12月19日 『僕の叔父さん』
 日曜日です。講習と講習の間の中日なんだけど、1日完成のテーマ特別授業が朝の1限から設定されていて、6時に起きて7時前に家を出ました。前日まで午後3時10分からの授業だったので、切り替えに身体がついていけず、重いです。愚痴です。すみません。
 中沢新一の『僕の叔父さん網野義彦』を読了。オーム真理教事件で何かと物議をかもした宗教学者ですが、この本はいいです。哀悼の情感が読ませます。

04年12月18日 『ライ麦畑でつかまえて』『第七官界彷徨』
 本日にて松戸校の講習は終了。往復の3時間以上の読書タイムを利用して、買ったまま、ものすごーく長い間積ん読状態だったサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』(白水社新装版,1984年1刷)をやっと読む。読んでなかったことを人に言うのが恥ずかしいような作品。でも、食指が動かなくて。奥付を見たら1994年32刷のものを買っている。10年一昔。いや、30歳過ぎてから時が過ぎるのが早いこと早いこと。で、読みながら村上春樹の新訳にしとけばよかったかとちょっと後悔。一人称独白体の訳文が何だか古くて、いちいちひっかかる。でも、読んではいないが持ってはいる思い入れもない本を、新訳が出たからと言って買う気にはなれなかったのさ。

 読後感としては、いわく言い難い後味の悪さが残ったと。

 口直しにつづけて尾崎翠の『第七官界彷徨』を読む。初出1931年のこの作品の日本語の方が、断然しっくりくる。しみじみといいです。

04年12月16日 『USAカニバケツ』
 太田出版から出たばかりの本を読了。『映画の見方がわかる本』以降、『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(1・2 町山智浩&柳下毅一郎,洋泉社,12002,2 2004)『底抜け合衆国』(洋泉社2004)とすっかりはまってしまっている。
 先日、久しぶりに地理の福田先生にあった際、「町山智浩って知ってる?」と向こうから問われて、「いいですよね。ここんとこ集中的に読んでます」とこたえたら、「ぼくなんか2年前から注目してるよ」と威張られてしまった。現在のアメリカ社会の紹介と分析で出色ということで、地理と世界史の意見が一致。
 どうやらとっくに知ってるよという人が多そうですが、まだ「誰、それ」という人がもしいたら、この『USAカニバケツ』は最初の本としてお勧め。アメリカの犯罪やスポーツ、芸能、TV番組に関するコラムを通じて「笑えて、泣けて、ゾッとさせられるアメリカ人の実像」を紹介し、「先に頂点に登ったわずかなカニたちが、後を追いかけて来るその他大勢のカニたちを蹴落とすだけでなく、今、はしごを外そうとしている」アメリカ社会の病巣をえぐりだす。気軽に読めて、抜群に面白くて、ものすごく深いところまで考えさせてくれます。読みましょう。

04年12月15日 ここまで延びたのはひとえに我々の怠惰のゆえでありますが
 近藤さんより、中村富由彦作品集『麦酒瓶を砕く』の表紙カバーの入稿が、無事終わったとの連絡。本体は格安の同人誌専門印刷所に持ち込んだのだけど、唯一カラー印刷となる表紙カバーについてはその印刷所では選べる紙の種類が少ないなど様々な制約があるため、多少コストがかかるのを覚悟して、近藤さんの会社とつきあいがある別の印刷所に依頼したのだった。
 これでやっと、『麦酒瓶を砕く』が完成します。

04年12月14日 師走
 師走です。走ってはないけど、忙しいです。本日から30日まで、休みがありません。ずっと講習です。ため息。
 本日よりまず松戸校で5日間。往復の電車の時間が長く、格好の読書タイムになりそうなのが、救いと言えば救い。
 早速四方田犬彦の『心は転がる石のように』読了。2003年から2004年にかけてのエッセイをまとめたもの。第二次世界大戦下の日本映画に言及した島田雅彦の『退廃姉妹』10行の記述中に、次々に歴史的事実の誤りを見つけ出す「島田雅彦の退廃」(pp.87-90)や、エドワード・サイードの追悼文「サイード先生の思い出1・2」(pp.236-245)などを含む。もっとも本書の肝は、第3章のイスラエル滞在記にあり、この知られざる国の現在の恰好のレポ−トとなっている。一般向けのエッセイとして書かれたという性格上、情報の密度には正直いってやや食い足りないものがあるのだけれど、パレスチナ問題が混迷の度を深める今、広く読まれるべき。

「イスラエルに残された道はひとつしかない。選ばれたユダヤ人の国家であることを諦め、アラブと共存することで、普通の中近東の国のひとつとして存続することである。でなければこの国は消滅してしまうことだろう。」(p.310)

同感。

04年12月13日
 推理小説研究会(青山ミステリ)の先輩である中村富由彦さんの記念館を別館 the Second に開設。同時に、作品集『麦酒瓶を砕く』の原稿を、本日印刷所に入稿。年末か、年明けには刷り上がります。関係者各位、大変、お待たせしました。

04年12月12日 『たそがれ清兵衛』
 DVDにて、山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』を鑑賞。原作藤沢周平であり、昨年度の主要な日本の映画賞を総なめにした作品ということで期待値は高かったのだけど、どうもしっくりこない。映画としての出来がどうこうというより、そこに描かれている「藤沢周平の世界」が、わたくしの勝手な「藤沢周平の世界」と微妙にずれている。もちろん、原作の再現性がうんぬんというのは、作品としての映画の価値とは無関係であり、原作のファンとしての視点から映画を語ることは、邪道であると充分承知。
 それでもなお承服しがたいのは、この作品が、明治維新後から、終わってしまった幕末の時代を振り返るという視点で作られている点。最後には、清兵衛のその後まで明かされてしまう。藤沢周平は、そんな物語の閉じ方はしない。周平作品の登場人物は、いつも未決定の未来に向き合って終わるんだ、というのは、わたくしの思い込みでしょうか。

04年12月7日 『のだめカンタービレ』
いま、一番面白いマンガと生徒に勧められて『のだめカンタービレ』を読む。点の辛い高円寺ので第8巻に7点がついていたので、以前から気になってはいたのだけど、いやホントに面白い。10巻まで出ているので、最初は1週間に2巻くらいで読んでいくつもりが、大人買いに走り、2日で全巻購入してしまいました。堪能。

04年12月5日 『プライベート・ライアン』
スティーブン・スピルバーグが第二次世界大戦に題材をとった戦争映画。冒頭20分ほどのノルマンディー上陸作戦の描写は、まさに革命。そこで息切れしてしまったという感も、なきにしもあらずだけど。