ピタゴラス(前582-前497)

前6世紀サモア出身でイタリアのクロトナに居住。万物の根源は数であると主張し、ピタゴラスの定理を発見した数学者としても有名。が、同時に彼は人間は全ての動物や植物がめぐりめぐって転生したものだと輸廻転生を説くピタゴラス教団の創始者でもあり、教えを詩と音楽で表現する芸術家でもあった。彼の輪廻転生思想はギリシアの伝統的信仰を根底から覆す物であり、教団は異端視されて迫害される。

この教義に反抗したクロトナの市民たちが、ある日彼の家を襲って火をつけた。ピタ
ゴラスは40人程の弟子とともに逃げ出したが、途中でソラマメの畑に行き当たった。
彼の植物に対する尊敬の念が、彼の運命を決した。「ここで死のう」と、ピタゴラス
は畑のへりに腰をおろした。「このあわれなソラマメを踏みにじるよりは」そして彼
は弟子たちとともに追ってきたクロトナの市民に虐殺された。どうもよくわからない

−山田風太郎『人間臨終図鑑』より引用。

『後宮物語』で第一回ファンタジー大賞を受賞した酒見賢一が、その生涯を『ピュタゴラスの旅』というなかなか面白い小説にしているので興味がある人は読んでみて下さい。もっともこの作品のラス卜の場面は講談社漫画賞を受賞した村上もとか(「赤いペガサス」!「六三四の剣」!「ヘヴィ」!「風を抜け」!「龍」!)の「岳人列伝」の中の「北壁」のパクリではないかな。