出題年:99年
出題校:千葉大学
問題文
以下の語句を使用し,三十年戦争の歴史的意義について論じなさい。使用した語句には最初に用いたときに下線を付すこと。
グロティウス 国益 ウェストファリア体制 オスマン帝国 神聖ローマ帝国

解答例

オスマン帝国の台頭に対抗して、皇帝権と教皇権を復興して西欧を指導しようとしたカール5世の意図は、イタリア戦争でのフランスの抵抗や新教諸候の反対にあって挫折し、以後各国の集権化が進んだ。三十年戦争のウェストファリア条約で神聖ローマ帝国内の領邦国家の主権が認められ、ルター派とカルヴァン派が承認されたことで、皇帝権と教皇権の没落は決定的となり、国益を追求する主権国家が併存するウェストファリア体制が成立し、グロティウスが提唱した国際法で裏づけられた。この体制では、スイスとオランダの独立が承認されてハプスブルク勢力が後退し、ラインの左岸に領土を拡大したフランスのブルボン家が台頭した。バルト海では北ドイツに領土を得たスウェーデンが覇権を握った。戦場となって荒廃したドイツ地域は発展が遅れたが、比較的被害の少なかった東北部のプロイセンと東南部のオーストリアが、その後勢力を伸長することとなった。(394字)