世界史学習方法FAQ
(Frequently Asked Questions - よくある質問)

それはだめです
Q1.世界史は教科書だけ読んでおけばいいんですよね?
A.勉強やスポーツ,自動車の運転etc.etc.習い事というのは,すべて基本(理解し,覚える)と,応用(練習する,実際にやってみる)を組み合わせることで身に付きます。自動車の運転の仕方の説明を受けて運転方法を理解した(基本)からといって,ただちに街に出てスムーズに運転ができるようになるわけではない,というのは,みんな了解できるでしょう?
 大学入試も同じです。大学入試とは入試問題を解くことです。教科書を読んで理解することは,基本の部分にあたります。過去の入試問題など,問題演習を行うことが応用にあたります。教科書を読むことは必要ですが応用も必要です。

Q2.サブノートを自分で作っているのですが。
A.やめましょう。サブノート作りには時間がかかります。対時間効果を考えると,あまりに効率が悪いです。仮にあなたが一生懸命時間をかけて,サブノートを作ったとしましょう。それを見たあなたの友人が「コピーさせて」と言うのでコピーさせてあげたとしましょう。きっとその友人の方が,テストで良い点をとるでしょう。その友人は,勉強時間をサブノート作りにではなく,サブノートを繰り返し読み返し,サブノートを使って理解し,暗記することに時間をかけることができるからです。
 では,どうすればいいのか。河合塾のテキストを使いましょう。河合塾のテキストは,プロが作ったサブノートです。何冊もの教科書や過去の入試問題を参考に,要点を整理しています。右ページにある歴史地図も,入試に必要な事項だけを厳選した優れものです。その河合塾のテキストに,どんどん書き込みをしていけば,あなただけのオリジナルサブノートが出来上がります。河合塾生以外の人は私が作成した図解世界史ノートのダイジェスト版をに置いているので利用してください。


Q3.「一問一答」を中心に勉強しているのですが。
A.それは使い方が間違っています。教科書を読む・講義を聴く→サブノートで復習し,暗記する→「一問一答」で確かめる,というのが基本(理解し,覚える)部分の一般的な勉強法です。理解がおろそかなうちから,いきなり「一問一答」で暗記しようとすると,知識が断片的になってしまいます。一問一答では、河合出版の『世界史最強の一問一答』をおすすめします。私も著者の一人です。。

Q4.世界史は9月からで間に合いますよね?
A.死にものぐるいに出来るのであれば,間に合わないこともありません。「英語」や「数学」に比べて学習に必要な絶対量は確かに少ないです。最後の最後の直前の時期でもまだまだ伸びるのも世界史です。入試直前は世界史であがいてください。が,それでも最後の数ヶ月であわてて詰め込む詰め込むよりも,1年かけてじっくりと定着させていった方が効果的なのも,世界史です。世界史は,年代順の縦のつながりと,地域間の横のつながりの双方が必要です。暗記した事項に,いくつものつながりをつけていく,熟成させていくには,ある程度時間があった方がいいのです。


Q5.でもやっぱり英国数が大事だし
当然英国数は大事です。勉強するなとはいいません。が,何とか世界史の学習時間を確保してください。なぜなら,世界史は中学校から(ひょっとすると小学校から)競争が始まり,今まで学習時間を積み重ねてきた英国数と違って,高校から初めて競争が始まります。1年で全体の範囲を学習してしまえる教科です。必要な学習の絶対量は英国数に比べて遙かに少ない。たとえ今は不得意でも,ちゃんと学習すれば一気に得点UPが期待できる。その世界史が,私立文系の3教科受験だと,英語や国語と同じだけの配点があることが多いのです。つまり,勉強時間あたりの得点効率が,圧倒的にいいわけです。なのに,後回しにしてしまって,不得意な人が多い。世界史はやったもの勝ちです。

どうすればいいでしょう
Q6.世界史の学習方法を教えてください
A.基本(理解し,暗記すること)と応用(問題演習を通じて実戦力をつけること)を組み合わせましょう。最初は,基本に勉強時間の7割,応用に3割,実力の向上につれて,基本に3割,応用に7割というように移行していくのが理想です

Q7.基本勉強の中心は?
A.講義の復習とテキスト(サブノート)での理解と暗記を中心にしましょう。世界史は,予習よりも復習重視です。「一問一答」などは,チェック用に使ってください。最後の仕上げに教科書を読んでバラバラだった知識のつながりを確認するようにすると良いでしょう。特に論述問題に対応する必要がある人は教科書の各章の前にあるまとめのページなどで全体的な理解を確認しておく必要があります。

Q8.応用勉強に使う問題集は,どんなものがいいでしょう
A.解説が詳しくて,新しい問題が載っている,というのが問題集選びのコツです。問題集は,1冊だけだと世界史の出題範囲をカバーできないので,1冊終わったら,また次の1冊というようにどんどん解いていってください。河合出版の『関関同立大世界史』はおすすめです。関西の名門私大対策問題集ですが,この4大学の問題は,教科書の単元に従った基本的な空欄補充問題からテーマ史の問題までバラエティに富んでいて,ほとんどの大学に応用がききます。また,問題集自体,見開き2ページを基本レイアウトとしていて,見やすい。そして解説が詳しい。現在入手可能な総合的な世界史問題集として最も優れています。終わったら,上級者用として同じく河合出版の『早稲田大世界史』と『慶應大世界史』がおすすめです。
 共通テスト対策で、共通テスト特有のグラフ・資料問題については、清水裕子先生著かんき出版『大学入学共通テスト世界史Bが1冊でしっかりわかる本』がよいでしょう。共通テストと従来のセンター試験は基盤が同じなので、当ホームページで公開している『センター試験トライアル』も利用してください。21世紀のセンター試験の問題を単元別に編集したもので,授業の進度にあわせて学習できます。解答ではない選択肢についても,解説がついていて,より深く学習できるようになっています。


Q9.以前に学習した内容をすぐ忘れてしまうのですが?
A.人間は忘れる生き物です。特に世界史の場合,油断していると,4月にオリエント史をやったあと,何ヶ月もオリエント史には一切触れないできてしまった,などということがしばしば起こります。せっかく理解し,覚えた内容も,これでは忘れてしまいます。
 この問題解決のためには,正規の学習時間とは別に,1日10分でいいから“世界史見直しタイム”を作ってください。そして,テキスト1章分くらいをめどに,テキストを流し読みします。1日目は第1章,2日目は第2章というように,学習したところまで流し読む。学習した範囲まで到達したら,先には進まずにまた1章にもどるということを,繰り返します。あくまでスピード重視の流し読み。これで,記憶の減退を防ぐことができます。

Q10.年号暗記は最後でいいですか?
A.重要年号は,その都度覚えましょう。意図して年号を暗記すれば,大きな学習効果が得られます。年号を覚えれば,自動的にその出来事が何世紀だったのかが分かります。また,年号を覚えていれば,事柄と事柄の前後関係や,同時代史の整理にも有効です。細かな年号は必要ありません。でも重要事項の年代暗記は,必須です。