ルソー(1712-1778)

ジュネーブで生まれ、パリを中心に活躍した啓蒙思想家。自由・平等を主張した『人間不平等起源論』と主権在民・直接民主政の主張で有名な『社会契約論〈民約論〉』はフランス革命、特にジャコバン派のロベスピエールとサン=ジュス卜に大きな影響を及ぼしている。また文明と人為を悪として“自然にかえれ”をモッ卜ーとし、ロマン主義の先駆となった。その影響は王妃マリー=アントワネッ卜にも及び、彼女が宮廷内に農家風の家をつくってそこで「自然にかえった」生活を楽しんだことが知られている。もっとも本人はというと『民約論』を著しながら貴族の夫人の愛人として生活し、不朽の教育論の名著『エミール』を著しながら、生まれた自分の子供は片っ端から孤児院に放り込む、矛盾と謎に満ちた人物でもあった。