ロマン・ロラン(1866〜1944)
反戦・反ファシズムの主張で知られるフランスの作家・劇作家。ブルゴーニュ地方の中産階級の家に生まれ、フランスのエリート校である高等師範学校を卒業して歴史学の教授資格を得、さらにオペラ史の研究で文学博士号を取得。母校とパリ大学で音楽史の講座を担当する一方、音楽誌や演劇誌の編集にも携わる。学生時代からトルストイに傾倒し、その人類愛を説く思想に強い影響を受ける。ベートーヴェンをモデルとする音楽家の生涯を描く大河小説『ジャン・クリストフ』が代表作。スイス旅行中に第一次世界大戦が勃発すると、あくまで平和主義の立場を貫いてスイスに亡命。戦争中に受賞したノーベル文学賞の賞金は国際赤十字などに寄付された。第一次世界大戦後、ロシア革命とインド思想に傾倒し、『マハトマ・ガンジー』を著す。ファシズムの台頭に対しては、国際反ファシスト委員会名誉総裁を務め、スペイン人民戦線にも同情的な立場を取った。