シェークスピアの喜劇。ユダヤ人高利貸しシャイロックから,友人の恋の成就のために金を借りたヴェニスの商人アントーニオが,期日までに返済不能の場合は肉1ポンドを提供する証文をシャイロックに与えたところ,アントニオの商船が帰港せず,返済不能となってしまう。アントーニオに肉1ポンドを要求するシャイロック。さていったいどうなってしまうのか,というお話。ユダヤ人や金融業者に対する当時のロンドン市民の反感が作品の背景をなしているとされる一方で,シャイロックも単なる悪役ではなく,差別に憤る血肉を持った存在として造形されていて,物語りに深みを与えている。