出題年:2007年
出題校:一橋大学
問題文

18世紀後半のフランスは,それまでの絶対王政がゆきづまり,不安定な時代を迎えていたとされる。とりわけルイ16世(在位1774-92年)時代は多くの社会的矛盾や財政難が顕著となる時期であり,政府はそうした事態への対応を迫られていた。ルイ16世の即位からフランス革命勃発に至るまでの期間を取り上げ,その間,どういった問題が生じていたかを説明したうえで,政府はそれに対処するためにどのような改革を行おうとしたのか,そして,そうした改革はなぜ挫折したのかを述べなさい。(400字以内)


解答例

第一身分の聖職者,第二身分の貴族,第三身分の平民という身分制が維持され,少数の第一身分と第二身分が特権身分として広大な土地と重要官職を独占し,免税などの特権を得ていた。第三身分の大部分を占めた農民は領主への地代と国税の二重負担に苦しみ,富を蓄えて実力を向上させた商工業者はそれに相応しい待遇を得られないことに不満を持って旧体制を批判する啓蒙思想を支持していた。財政はイギリスとの対外戦争と宮廷の浪費によって悪化し,特にアメリカ独立革命を支援したことで破綻に瀕した。ルイ16世は重農主義者のテュルゴを起用して穀物取引の自由化やギルドの廃止を,銀行家のネッケルを起用して特権身分への課税を試みた。しかし,特権身分はこの事態を絶対王政下で失った権力回復の好機と捉え,あらゆる改革に反対することで王権を危機に追い込もうとしたため財政改革は挫折し,特権身分が王権制限の場と期待した三部会の開催に至った。