顧炎武(1613-1682)
明末清初の儒学者。明末の陽明学の空理空論化を批判し、経世致用を唱え、厳密な考証を重視する考証学を確立。代表作『日知録』は、日々の読書研究の際の随想録の形をとり、政治・経済・天文・地理・制度など広い範囲を該博な知識を背景に、厳密な考証と鋭い批評で論じたものである。明が滅亡すると母をともなって各地を転々とする一方、復明運動にも加わったが、復明はならず、母は清朝に仕えて節操をけがしてはならぬと遺言して絶食20余日で明朝に殉じる。彼の学問見識を惜しむ清朝のたびたびの仕官の申し出を断り、引退生活をおくった。