出題年:1999年
出題校:一橋大学
問題文
8世紀後半から11世紀にかけて,ノルマン人の活動はヨーロッパ全体に大きな影響を及ぼしたが,とりわけイングランド初期の歴史には密接な関わりを持っている。9世紀初めから11世紀までのイングランドの王朝の変遷を,次の語句を用いて説明するとともに,それが11世紀以降に及ぼした政治的影響について述べなさい。(400字以内)
 七王国(ヘプターキー) ロロ ヘースティングズの戦い
 

解答例

アングロ=サクソン族の移動によってブリテン島南部に分立した七王国は,829年にエグベルトによって統一され,イングランド王国が成立した。ノルマン人の一派デーン人の侵入が激化すると,9世紀後半にアルフレッド大王が反撃に転じたが,11世紀初頭にはデンマークのカヌートによって征服された。カヌートはノルウェー王も兼ねて北海を支配する帝国を築いたが,死後その帝国は解体し,イングランドにはアングロ=サクソンの王朝が復活した。その後,北フランスにノルマン人の首長ロロが封じられて成立していたノルマンディー公国のウィリアムが,1066年ヘースティングズの戦いでアングロ=サクソン軍を破り,ノルマン朝を建てた。このフランス貴族によるイングランド征服は,大陸の封建制導入による強力な王権を誕生させるとともに,イングランドとフランスの対立を不可避のものとし,後のプランタジネット朝とカペー朝の抗争や百年戦争の遠因となった。