出題年:1996年
出題校:奈良教育大
問題文
下記の事項と人名を用いて、キリスト教の発展過程を叙述せよ。(450字以内)

解答例
イエスの死後,イエスを救世主とする一神教として弟子たちによってローマ帝国各地に布教されたキリスト教は,民族や階級の差を克服したので,初めは下層民に,3世紀の混乱期には上層民の間にも広まった。ネロ帝の迫害後公式な迫害は少なかったが,専制君主制を開始したディオクレティアヌス帝は,皇帝崇拝を拒否するキリスト教に大迫害を行った。しかしコンスタンチヌス帝は帝権を神聖化するためミラノ勅令でキリスト教を公認し,ニケーア会議を召集して教義の統一を図り,神とイエスを同質とするアタナシウス派を正銃とし,イエスに人性を強く認めるアリウス派を異端とした。その後,392年にはテオドシウス帝によってキリスト教は国教化されたが,帝の死後ローマ帝国が東西に分裂し,476年の西ローマ帝国滅亡によって西欧のキリスト教は最大の保護者を失った。しかし,496年にフランク国王クローヴィスが正統のアタナシウス派に改宗し,その後フランク国王カールが西ローマ皇帝として戴冠して,キリスト教は中世西欧世界の唯一絶対の宗教となった。(442字)