ニーチェ(1844-1900)

19世紀最大の哲学者にして現代思想にもっとも大きな影響を与えている人物。“神は死んだ”と叫び、キリス卜教を弱者の道徳として否定。ニヒリズムを克服する超人を説いて超人哲学を樹立『ツァラトストラはこういった』(岩波文庫のものが訳がこなれていて読みやすい)は青春の必読書。実生活は不器用でルー=サロメ(後に恋人として詩人リルケに多大な影響を与える)と友人パウル=レーとの奇妙な三角関係は不幸な結末を迎え、生涯を独身でとおす。あわれみこそが、精神的悪の根源であるとしながら、1890年の1月、御者によってむち打たれる馬を見て激高し、馬の首を抱きしめて失神。昏睡から醒めた後は完全に発狂し、生涯の最後の10年を廃人として過ごした。原因は遠い青年期にかかった梅毒が、脳にまで進行した脳梅毒ではないかといわれている。ちなみに20世紀最大の哲学者といわれたフーコーの死因はエイズである。