マテオ=リッチ(1552-1610)
中国名利瑪竇フランシスコ=シャビエルが果たせなかった中国布教を開始したイエズス会士。ポルトガルの交易路を利用し、ゴアからマカオへ到り、中国上陸。中国人をキリス卜教信仰に導くためにはまず士大夫(読書人)層の信仰を獲得しなければならないと考え、世界地図の翻刻をはじめて『坤輿万国全図』として完成。これは徐光啓の入信のきっかけとなるなど、大きな反響をよんだ。1601年に上京したさい、置き時計をはじめとする珍奇な品々を持参し、万暦帝に献上。定住を許され、以後北京で布教活動と西欧学芸の紹介につとめた。布教に関しては、中国人の教徒が孔子崇拝や祖先崇拝の儀式に参加することを認めるなど、柔軟な態度をとったが、これは後の典礼問題の遠因となる。