出題年:1998年
出題校:京都府立大
問題文
隋唐時代の国家統治のあり方と唐代中期以後のそれらの変化とについて、(1)政治制度、(2)対外関係、(3)経済制度、(4)軍事制度の四つの論点を中心に略述せよ。なお、論述するにあたっては、下記の語句を必ず使用し、使用した箇所には下線を引いておくこと。(450字以内)

貞観の治 両税法 羈縻政策 節度使
解答例
隋で始まった中央集権の諸制度は唐に受け継がれ,唐の太宗李世民の貞観の治によって律令体制として確立した。政治制度では三省六部の官制のもと州県制が採用された。財政は公地公民の均田制の下で実施された租庸調の税制を基盤とし,商業活動に関しても統制を加えた。対外関係は冊封体制を基本とし,支配下の異民族に関しては都護府を置いて監督する一方,間接的自治を認める羈縻政策を採用した。軍事制度は均田民を徴兵する府兵制を基本とした。しかし府兵制はその負担の過大から実施が困難となり,8世紀半ばには兵を募集する募兵制へと移行した。対外的にも拡大から防衛に転じ,辺境防衛のために募兵権を持つ軍団長である節度使が設置された。755年の安史の乱は節度使の安禄山と史思明が引き起こした内乱であり,この時,乱鎮圧のために内地にも節度使を増設した。安史の乱後節度使は各地に自立して財政や民政も支配する藩鎮となり,唐の中央集権体制は崩壊した。均田制は実施不可能となり,税制では土地私有を前提に資産に応じて課税する両税法が施行された。
(448字)