【1】文明圏の成立
(1) 文明圏の思想
・独自の文明が成立し,歴史が展開した地域を文明圏
・その区分は,多分に便宜的
・仮に,西欧文明圏・西アジア文明圏・南アジア文明圏・東アジア文明圏と区分
・16世紀までの世界史は、各地に成立した文明圏が、お互いに交流しながらも独自の歴史
→16世紀以降、西欧を中心とした世界の一体化の開始
・各大文明圏の中継地として,草原遊牧民世界・中央アジア世界・東南アジア世界
→草原遊牧民世界=草原の道、中央アジア世界=オアシスの道、東南アジア世界=海の道の中心
(2) 各文明圏の特徴
西欧文明圏 現代文明に最も影響。源流はローマ文明も確立は800年カールの戴冠
・9〜10世紀より自給自的な荘園を経済的基盤とする封建社会に移行
・11世紀より三圃制有輪犂の普及などで生産力向上。商業も復活(商業ルネサンス
十字軍レコンキスタ東方植民の拡大運動
→先進イスラム文明と接触し12世紀ルネサンス
・14世紀は封建制の矛盾とペストの流行で危機の時代
・16世紀より大航海時代を背景に環大西洋地域の一体化→資本主義世界システムの誕生

西アジア文明圏 古代オリエント文明成立→イスラム文明に継承
メソポタミア文明エジプト文明成立→融合しオリエント文明
→エーゲ文明・ギリシア文明・ローマ文明に影響
アレクサンドロス大王の東方遠征でギリシャ文明とオリエント文明融合のヘレニズム時代
・ヘレニズム世界は,ローマ帝国パルティアに継承→東ローマササン朝対立へ
・アラビア半島よりイスラム勢力台頭し,大帝国建国。イスラム文明成立
・イスラム世界の分裂とイクター制の普及=イスラムの中世
モンゴル帝国ティムール帝国を経て16世紀にイスラム3大帝国が確立

南アジア文明圏 インダス文明の発祥地。古代王朝の興亡の後,イスラム文明の影響
・インダス文明繁栄後,アーリア人侵入→ガンジス川流域に移動し都市国家
マウルヤ朝から,ヴァルダナ朝まで古代王朝興亡
・イスラム勢力侵入。13世紀よりデリー=スルタン朝興亡→16世紀ムガル帝国の成立

東アジア文明圏 黄河文明発祥地。中国を中心に冊封体制による秩序を形成
殷周の都市国家連合(邑制国家)の時代から,春秋戦国時代を経て,皇帝専制の秦漢帝国成立
魏秦南北朝の混乱期を経て,貴族文化が特徴の隋唐帝国
唐末五代の混乱期に貴族没落。は佃戸制荘園に基づく士大夫中心の文化→清代まで継承
モンゴル(元)の支配を経て,明清帝国。16世紀〜18世紀メキシコ銀流入などで経済発展

草原遊牧民世界 農耕定住民世界との交流が歴史の一原動力。草原の道の交通路
中央アジア世界 オアシス農耕と中継貿易。オアシスの道の交通路
東南アジア世界 南アジア世界と東アジア世界を結ぶ海の道の交通路