モーパッサン(1850-1893)

フランスの自然主義作家。母がフロベールの親友の妹であった縁から役所勤めの傍らフロベールに師事。貴族の家に生まれた女性が、幸福な少女時代と婚約時代を経た後、結婚した夫に裏切られ、我が子に裏切られていく生涯を冷厳に描いた『女の一生』(原題は「ある生涯」)で有名。この小説は出版されるやベストセラーとなり、トルストイにも絶賛されたが、作者は30過ぎから早くも梅毒が原因の視力障害、偏頭痛、幻覚に苦しめられ、42歳の時についに発狂しパリ郊外の精神病院に収容。架空の人物相手に話をしたり、花壇の前に立ち止まって「そこにはこれを植えよう。来年になるとモーパッサンの子供が生えてくる」と言ったという症状を残した後、死んだ。