出題年:2008年
出題校:一橋大学
問題文

西ヨーロッパでは11,12世紀の経済発展により,遠隔地商業が盛んに行われるようになった。13世紀から17世紀初めのハンザ同盟の活動について,担い手,地域,交易品,そして衰退の理由に触れつつ,同時代の東方(レヴァント)貿易と対比して論じなさい。(400字以内)


解答例

東方貿易は北イタリア都市が地中海を舞台にイスラーム世界やビザンツ帝国から香辛料や絹織物を輸入した交易だった。それに対しハンザ同盟はリューベックを盟主とする北ドイツ都市の同盟で,北海とバルト海の沿岸各地に商館を置いて各地を結び,木材・毛皮・穀物・毛織物などを取引した。ハンザ同盟の活動は13世紀から14世紀に全盛を迎えたが,15世紀にはデンマーク・スウェーデン・ノルウェーが結成したカルマル同盟がバルト海交易をめぐってハンザ同盟に対抗した。16世紀には東方貿易が大航海時代の到来で停滞したのに対し,エルベ川以東の東ヨーロッパが西欧への穀物や木材の供給地となる分業体制が成立したことで,北海・バルト海貿易は発展した。しかしその貿易はバルト海直航ルートを開いたオランダ商人に支配され,さらに周辺諸国の集権化やイギリスの重商主義政策などでハンザ商人は在外商館設置などの商業特権を失い,同盟は衰退していった。