次の文章を読んで,問1,問2に答えなさい。
北海・バルト海・黒海・地中海など,ヨーロッパ世界を取り囲む海域は,ヨーロッパ世界内の,或いはヨーロッパと他の地域との交易の上で大きな役割を果たしてきた。

問1.東ローマ帝国が,コンスタンティノープルを中心に貨幣経済を維持し続けたのは,小アジアとバルカン半島を結ぶ交易路のみならず,地中海と黒海を結ぶ交易路の結節点に位置したからである。9世紀から13世紀までの,ビザンツ帝国と黒海交易の変遷について,次の語句を用いて説明しなさい。(200字以内)

ドニエプル川 キエフ公国 ジェノヴァ モンゴル帝国

解答例
9世紀には,バルト海で活動したヴァイキングと,ドニエプル川と黒海を介した交易が行われ,やがてこの交易路にルス族が進出してノブゴロド公国・キエフ公国が建設され,ビザンツ帝国と交流した。13世紀にモンゴル帝国がキエフ公国を滅ぼして黒海北岸を支配すると,モンゴル帝国によって整備された草原の道の交易路に接続して黒海貿易は繁栄し,ジェノヴァなどイタリア商人も植民市を建設して進出した。


問2.ドイツ人都市を中心とした北海・バルト海交易の盛衰について,地域名・都市名・交易品を具体的にあげながら説明しなさい。(200字以内)

解答例
北ドイツ都市を中心とするハンザ同盟の商人は,日用品を中心とした交易を行い,ロンドンの羊毛や,ブリュージュなどフランドル地方の毛織物,ケルンなどライン流域のぶどう酒を北欧・東欧に運び,一方ベルゲンからにしんなどの海産物や木材,ノブゴロドから穀物,毛皮を入手した。リューベックを盟主に共同の海軍も有して13〜14世紀に全盛を迎えたが,17世紀にはオランダ商人の進出や絶対主義国家の重商主義政策で衰退した。