出題年:2000年
出題校:筑波大
問題文
メソポタミアの歴史と文化の特徴を、エジプトの場合と比較しながら、以下の語句を用いて説明せよ。(400字以内)
統一国家 アッカド人 ナイル川の氾濫 都市国家
太陽暦 シュメール人 六十進法 メネス王
農耕社会 天然の要害

解答例
エジプト文明はナイル川流域にハム語族によって成立し,ナイル川の氾濫がもたらす肥沃な土壌を背景に,農耕社会を基盤とした。治水の必要から強大な王権が要請され,早期にメネス王による統一国家が実現した。周辺を砂漠で囲まれた閉鎖的な地形は天然の要害として異民族の侵入を防ぎ長期王朝が続いた。文化では太陽暦が作られ,測地術も発展した。またエジプト文字は,アルファベットなどの起源となった。対してシュメール人によってメソポタミア文明が成立したティグリス=ユーフラテスの流域は,各地を結ぶ交通の要衝として交易拠点に都市国家が分立し,アッカド人のサルゴン1世まで統一の実現が遅れた。また開放的な地形であったため周辺の草原地帯から遊牧民の侵入が相次いで,セム系や印欧系の短期の王朝が興亡した。文化面では,月の満ち欠けに基づく太陰暦や六十進法が成立し,楔形文字はアケメネス朝滅亡までオリエント各地で広く使用された。(396字)