ジョット(1266-1337)

イタリアルネサンス写実主義絵画の時代の幕開けを告げる画家。ダンテもその画業を賞賛した。フィレンツェの人で、羊飼いの生まれであるという。機知に富んだ人としても知られ、彼のものとされる小話に次のようなものがある。

ジオットが仲間と連れ立ってお寺まいりをした時、あるー人が言った。「ね、どうし
てヨセフはいつでもあんなに憂鬱そうな顔をしてるのだろう(ヨセフはキリストの母
なるマリアの婚約者)」ジオットがすぐさま応じる。「あたりまえさ。自分の花嫁の
お腹が大きくなるのを見ながら、その父親がわからないのだから」

とはいえ、彼は乞食修道院運動およびフランチェスコ派の創始者で「第二のキリス卜」と賞賛されたフランチェスコを題材にした『聖フランチェスコの生涯』など、深い宗教体験なしには描けないような名画を残しているのであるが。